中国オーガニックマーケットの現状(1)

中国オーガニックマーケットの転換期となった2012年

不正行為の撲滅を目指し、新たなオーガニック制度が導入された2012年は、中国オーガニックマーケットの転換期といえる。新制度導入後、マーケットは回復し、健全化に向けて動き出した。新しい発展に、我々(著者:インギ・チャンーカラーロ)もその過程で少なからず貢献した。2012年3月、新オーガニック法が施行されて以来、中国のオーガニックマーケットにて大きな変化が見られており、その他の要因の中でも、特に食品安全問題は、一際大きな役割を担ったと言える。中国の消費者は、依然としてオーガニック食品がどれだけ信頼できるか、またこの国全体に広がっている環境汚染と、食品安全性の問題から、これらの食品が100%オーガニックになりうるか疑問を持ちながらも、より多くの中国人に受け入れられていくようになった。中国におけるオーガニック製品の規制機関であるCNCA(中国国家認証認可監督管理委員会)と、オーガニック認証機関により、新しく設定された厳しいオーガニック基準についての説明と、オーガニックについての認知度向上のための多くの活動が行われている。さらに、現在発展段階にある中国のオーガニックマーケットは、依然として一次産業である農耕作物に集中しているため、この新しい基準の導入により、偽オーガニック食品の生産がより難しくなった。
2014年9月、CNCAは中国オーガニック業界の発展に関する報告書を発表した。報告書によると、オーガニック食品の売上高は2007年に1050億元に達し、2013年には2000−3000億元(約300−500億ドル)になると予測している。2013年末時点で、270万ヘクタールの耕作地が、国内オーガニック基準を満たしたオーガニック農地として管理され、そのうち143万ヘクタール(全オーガニック農地の53%相当)は、野生の原野だった。中国本土には6051のオーガニック生産者が存在し、2013年末までに認定されたオーガニック認証業者数は9957にのぼる。 2005年時点では、オーガニック認証を取った業者数は200にも満たず、同年に、オーガニック幕開けのシンボルとなった国内初のオーガニック店(”オーストア”)が上海に開店している。9957のオーガニック認証業者の内訳は、穀物、豆類、種子類、野菜果物などの全体の68%を占める農作物生産業者が6775社、畜産および水産業者が、それぞれ5.3%と3.4%、残りが加工食品業者であった。

50社以上の外資系企業がひしめく中国市場
毎年開催される見本市『BioFachニュルンベルク』に出展している多くの中国企業がオーガニック食品の原材料となる豆類と穀類を取引していることから分かるように、中国のオーガニック輸出事情に大きな変化は見られない。輸入に関する懸念としては、各国と中国との間のオーガニック基準に相当する合意がないことで、中国市場にてオーガニックとして販売される全ての海外製のオーガニック製品は、中国当局による認証を取得しなければならないということだ。報告書によれば、2014年2月末時点で、海外企業へのOEM(納入先商標による受託製造)や原料としての輸入を除いた輸入オーガニック製品に対して、100のオーガニック認証が与えられた。外資54社が、既に中国市場に参入または、参入準備が整っており、そのうち34社がイタリア、スペイン、デンマークを主とするヨーロッパ系企業である。輸入オーガニック製品の大半を、日用品、ベビー用品、ワインそしてエクストラヴァージン オリーブオイルが占めている。
過去数年間に渡って『BioFach チャイナ』-中国で開催される唯一の認証オーガニック製品の見本市− が発表してきた数字を見ると、中国オーガニックマーケットの実態をかいま見ることができる。2011年から2014年までの各年の出展者数は、342、189、261、345社、来場者数はそれぞれ、14613、15963、16235、16755人だった。今年の5月28−30日に開催される見本市には、360社以上の出展者と17000人の来場者が予想されている。2011年から2012年の出展者数は、新オーガニック規制が導入されたことで一時激減したが、来場者数は毎年増え続けている。直近のここ数年に見られる出展者数の回復は、新オーガニック制度導入後の中国オーガニックマーケットの発展ぶりを示していると言えるだろう。

中国オーガニックマーケットの新たな発展とは?

2012年以前、オーガニック製品はほとんどが大手スーパーで販売されており、少数派として、オーガニックやナチュラル食品専門チェーン店や、”ギフト市場”の存在があった。ギフト市場とは、大手企業や政府機関が自社社員や顧客への贈答用に使われる、ギフト用に包装されたオーガニック食品の販売などを指す。しかし、このギフトの受け取り主たちは、本当の意味でのオーガニック製品の消費者ではなく、このギフト市場は、顧客ロイヤルティや充実したオーガニック消費者サポートを育むことができなかった。中央当局の腐敗防止政策が、ギフト用オーガニック食品のビジネスに多大な影響を及ぼし、関連業者はマーケットからの撤退、または大規模な縮小を迫られた。この痛みを伴った調整期間であった2012年には、過去にオーガニック食品を販売していたスーパーマーケットの棚からオーガニック食品が減った。厳しい新オーガニック基準により、生産者の中にはオーガニック食品の生産をあきらめる者が出はじめ、またほとんどの輸入オーガニック食品企業が、中国オーガニック認証を取得できず国内販売をあきらめた。また、中国におけるオーガニック食品加工の基盤が脆弱であることから、様々なオーガニック加工食品の供給状態悪化につながる結果となった。この状況は、2012年以前と前後の両方において、中国のオーガニック市場の大きな課題である。

著者:インギ・チャンーカラーロ、中国生まれ、中国育ち。イタリア人の夫と2人の息子とともにイギリス在住。母国および世界各地において、オーガニック業界とオーガニック食品のプロモーション活動を精力的に行っている。北京のオーガニックファーマーズマーケットの基礎を作り、業界の発展に貢献した。オーガニック業界に関する詳細な情報を集めた、本記事を執筆した。

2015年03月20日
出典元:http://organic-market.info/

翻訳ボランティア:Yoshiko Waseda

関連記事

アーカイブ

項目別

ページ上部へ戻る