EUオーガニック規定の改訂を検討:フランスではおおむね受け入れの方向

出典:シナビオEU国際有機農業連盟による食品の加工に関するフォーラム
2014/10/2
オーガニック製品の製造方法に関するEU規定の改定が検討されている。
これについて、ドイツでは関連者の間で厳しい見方が強まっているのに対し(過去の記事を参照)、フランスではSynabio(フランスオーガニック企業連合)が2014年9月25日に開催した総会において批判も上がってはいたものの、どちらかというと受け入れる方向であるとみられている。この日は、午後の2時間にわたり(14時~16時)欧州議会議員であり、農業・地方開発委員の副委員長も務めるエリック・アンドリュー氏、そして農水省の担当官のマルジョリー・ドゥロワ氏によるプレゼンテーションが行われ、100人以上の人が参加した。

アンドリュー氏より議会および委員会の今後のスケジュールが説明された。2014年12月上旬にオーガニック規格の見直しに関するEU連合議員会議、2015年1月21日または22日に専門家グループとの円卓会議、また2015年1月29日に担当委員会の報告者によるレポートの発表が予定されている。この報告書は、3月から5月の議会での業務に活用できるよう2015年2月23日までには翻訳される予定だ。6月には、24日にEU議会にて数々の審議が行われることとなっている。

2名からの発表に続いて、4名の参加者が規定の見直しについて出されている案のキーポイントについて、意見を述べた。ほとんどの点で賛同を得られ、大きな意見の相違は見られなかった。議論を展開したのは、FNAB(フランス国立オーガニック農業連盟)で事務総長を務めるドミニク・マリオン氏、オーガニック農家でAgence Bio(アジャンス・ビオ)の現職の会長(2年任期)を務めるエティエンヌ・ガニュロン氏、Synabioのジャン-マーク・レベック氏、そしてCoop de France(フランス生活協同組合)のクリストフ・ルキュイエ氏だ。議論終盤になってヨーロッパ内、特にドイツは異なる立場を取っているとの言及があったが、その詳細について触れられることは無く、来月中に合意を取り付けるのは困難であろうと話すにとどまった。

多くの批判を呼んでいるのは、全部で30の規定からなる「委任法令」である。これは法律上軽微な部分をEU委員会で内容を改定または補完して、いわゆる法律とは異なる規則を制定することができるという制度だ。確かに、先を見越してガイドラインを準備するのは簡単ではない。不正の疑いがある場合の取り締まりに関する問題も、こういった法令の中で取り扱わなければならないのだ。いつ、どのくらいの頻度で取締りを行うかといった点は、まだ明確でない。

見直し事項の一つとして、農地の一部でオーガニック農法を、別の一部で慣行農法を行っている混合農地の取り消しが検討されているが、これについて不満が寄せられた。自身もブールジュ(シェール県)でのオーガニック農家であるエティエンヌ・ガニュロン氏は、“この施策によって何千ものオーガニック農場を失うことになり、悪影響が出る”のは確実だと声を強めた。オーガニックの認証を受けている農家のうちの25%はオーガニック農業ではない、慣行農業も続けているのだ。Coop de Franceのクリストフ・ルキュイエ氏も、この改定案は確かに“良いきざし”ではないと考えている。一方、SynabioとFNAB代表者たちは農地の一部でしかオーガニック栽培をしない混合転換農家は、一定の転換期の終了を目途に段階的に失くしていくことが長期的な目標だと強調する。

遺伝子組み換えについては、一部の参加者はオーガニック農業・慣行農業を問わず、遺伝子組み換え品の意図せざる混入量は最高でも0.9%までとすべきということで合意した。これ以上遺伝子組み換えの問題を大きくするのを避ける狙いだ。残留農薬の許容量に関しては、どのくらいの量から製品の格下げ、つまりオーガニック認証を取り消すべきかに関して意見の食い違いがあった。
まだ疑問点や不明瞭な点が残っており、各種の議論を経た後も、引き続き注意をしていくことが不可欠であること、数か月後にはフランスのオーガニック業界が目標を達成し、ヨーロッパでの発言力を高めていけるよう、話し合いの場を設けていく必要があることが、参加者間で改めて確認された。

結論にかえて、オーガニック食品の利点を広く伝えるための新しい二つの研究について、報告が行われた。

- 「“オーガニック”野菜と慣行農法による野菜の成分比較」 ニューカッスル大学およびアヴィニョン・フランス国立農学研究所のフィリップ・ニコ氏による研究
-「Bio Nutrinet Santé( 栄養と健康に関するインターネット調査)」 研究の成果と今後の見通しについてオーガニック農業技術センター(ITAB)のブルノ・トピエ-レタージュ氏による報告  

2014年9月25日のパリでのシナビオの総会では、法規上の義務事項のほかにEU規定の改訂が検討されたことについてと、この大きな課題に対してシナビオがどう対応していくかがじっくり話された。

シナビオは3月以降、欧州委員会による規定提案が出されてすぐに、内部において方針を検討してきた。今の所、規定第20条の改定を拒否する立場を取っている。この改定案はオーガニック製品の格下げを決める、不許可物質の限界値を設定するというものだ。一方で、同組合は、認証機関による検査において用いられる数値は、ヨーロッパ内で統一すべきだとの立場を取っている。また、シナビオは オーガニック企業における環境マネジメントの導入に前向きであると、新しい組合員代表のシャルル・ペルラン氏はビオ・マルシェ(BIO-MARCHE.info)対し語った。

シナビオ副組合長のジャン-マーク・レベック氏は、当組合は、原則として数を限定した例外を除き、オーガニック製品に使用される素材は100%オーガニックにするべきと提案する意向を伝えている。ヒト用食品としてのオーガニック製品における遺伝子組み換え汚染に関しては、0.1%とするべきというのがシナビオの方針だ。0.1%というのは、技術的に検知できる最少値だ。同時に、年次の義務点検に関しては維持・向上させていく姿勢を改めて明示した。

シナビオは、数週間から数か月後には、ヨーロッパレベルでこれらの方針を表明していく予定である。 当組合はまた、組合員の増加と、Securbio®(スキュール・ビオ)を含めた様々なプロジェクトの実施を優先事項に挙げている。Securbio®とは、オーガニック製品に含まれる不許可物質によるリスクを監視するもので、農務大臣顧問のリュック・モール氏も、実施の意義とオーガニック業界への付加価値向上を高く評価している。また、シナビオは組合員が社会的・環境的責任に関して取り組みを続けて行けるよう、Bioentreprisedurable®(持続可能なオーガニック企業)の認定ラベルを通して支援している。取り組みを続けるにつれて見られる進展に着目し、量的、質的な基準を取り合わせた、オリジナル性に富んだアプローチである。第一回目の認定は数か月以内に第三者機関によって実施される予定だ。Bioentreprisedurable®やSecurbio®といったアクションからわかるように、シナビオはこれまでに積み重ねた経験をヨーロッパ全体でパートナーたちとシェアしていこうとしている、とペルラン氏は語る。
2014年11月17日、18日にパリで開催されるSynabioとIFOAM Europe(ヨーロッパ国際有機農業運動連盟共同)開催のオーガニック食品加工に関するフォーラムでは、 組合員とオーガニック農業に関わるそれぞれの人たちがシナビオと直接触れ合う機会がついに実現する。生産方法やオーガニック製品における添加物、香料の使用に関連する製品の品質について主に話し合われることになっている。ワークショップでは、オーガニック製品の環境面での強みや、新しい規定の狙いなどがテーマに上がっている。


さらに詳しい情報はこちらから 
2017年に採用されると見込まれる新しい規格の大まかな要点とシナビオの方針を解説した8ページにわたる小冊子「Le petit journal du Synabio- septembre 2014」がインターネットから閲覧可能。
詳しくはこちらのウェブサイトから:
シナビオEU国際有機農業連盟による食品の加工に関するフォーラム
翻訳:川鍋美紀

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